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レザークラフト・フェニックス



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2013年12月21日

革の話をしてみよう:革の鎧の歴史や作り方をダラダラっと紹介

日本だろうが世界だろうが革、というものを調べていくと結局は宗教、食文化、戦争という3つの方向性の話になっていきます。

どの分野でもダラダラとしゃべり続けることも出来るのですが、今回は戦争と革について。
その中でも革鎧、というジャンルに絞ってダラダラっと。

loricadesinfo[1].jpg
日本の革鎧

挂甲 - Wikipedia



発掘遺物が残る古墳時代の物が有名であるが、奈良時代の記録に残された「挂甲」という名称を、発掘された小札(こざね)形式に便宜的に当てはめた物で、古墳時代の挂甲が実際にどのような名称であったのかは明らかではない。また奈良時代の記録に残る「挂甲」が実際にどのような物であったのかは遺物が残っていないためこれも明らかではない。

短甲 - Wikipedia
木製・革製・鉄製のものがあり、原則として肩から腰の胴体を保護する。胴甲。
〜中略〜
主に古墳の副葬品として出土し、埴輪や石人にも見られる。方形[2]や三角形[3]の鉄板や革などの素材を人間の胴体に合うように加工し、板を合わせて鋲で留め蝶番による開閉装置が施された[4]。腰部がくびれた形となっている。





埴輪がまとっている鎧、といえばイメージが湧くかと。
現存していないためどのような皮が使われていたかは推測でしかありません。

想像の姿は下記サイトにて
CG 飛鳥・奈良時代 革甲冑


以前紹介したアイヌの鮭革の鎧も類似例ですね。

1208phmin13.jpg
民族学博物館で革の勉強をしてみようpart2 アイヌが使っていた鮭の革: レザークラフト・フェニックス



常々口にしていますが「革は食があってこそ」、です。
肉を食べた後の資源有効活用として皮は革として使われてきました。


ところが天武天皇が675年に殺生禁断令を発し「牛・馬・犬・猿・鶏」を食うことを公式に禁じました。
猪・鹿はokだったのは田畑を荒らす害獣という認識からでしょうね。

じゃぁ牛肉食べなかったかというとそんなこともなく薬、という認識でこっそりと食べられていました。

牛肉の歴史

お肉のことならなんでもわかる!食肉なんでも大図鑑

この肉食禁止令により奈良時代以降は日本では肉を食べなくなったというのが、これまでの通説でした。しかし最近になって、実際には盛んに肉を食べていたことが、広島県福山市の草戸千軒遺跡の発掘調査などから明らかにされています。


これらの食べた後の副産物「皮」は「革」として鎧に使われていきます。


で。
今度は皆さんがイメージする日本の鎧らしい鎧。大鎧などと呼ばれるものですね。
これらには牛革も鹿革も使われていたとか。

印伝の歴史・・・印傳屋 印伝 竺仙浴衣 和装小物 通販 の和物屋

戦国時代の武将の武具にも・・・
印伝(いんでん)などの鹿革は、体になじみ、強度をそなえているため、武具の一部としても盛んに使われたようです。戦国時代には、古来のふすべ技法や更紗技法を駆使した鎧や兜が、武将たちの勇姿を飾り、輝かしい威光の象徴となったのです。



印伝の歴史


革で作られていたからといって弱い、とは限りません。

武の歴史の誤りを糺す heitaroh/甲斐 喜三郎

しかし、実は、日本の鎧は極めて堅牢にできていた。
確かに、平安時代の大鎧はの構成要素である札は牛の皮で出来ていたが、これは皮だけでできているということではなく、鉄の札と交互に犬の皮で横に連結して、横に長い板を作り、これを上下に糸や皮で威して構成されていた。
この最小の単位を小札と呼んだ。
この小札は長さ5センチ、幅は古くは3センチもあった。これは、時代が下るに従って細くなる。
恐らく、この小札が皮でできていた(鉄小札もあったのは説明したとおりである。)のを何かの本でよんで、皮だから弱いと思いこんでいた人もいたことであろう。
しかし、実は、この煉皮の小札は、他所の国の鎧のように、ただ一枚の牛皮を裁断して作ったものではない。一枚の牛皮をそのまま使ったものの数倍の強度と防御力を持つ。

簡単に説明すると、膠を溶かした水に皮を浸し、芯まで膠水が浸通ると、堅木の板の上に置いて鉄の槌で打ち、薄く延ばす。これを数枚重ねて打てば、着いて一枚の板ができる。これに石灰をまぶして乾かせばたやすく矢も通すことのない堅牢無比の甲板ができあがる。
これを上記の大きさに裁断して小札を作るのである。


西欧の鎧と違い日本の鎧は機動性や軽量を重視しています。
そのため小さなパーツを革や材木、鉄で作りそれをつなぎあわせたものを作り上げていきました。
元来日本人の体格が小さいため大きく重い鎧を使いこなせない、風土的にあわない、というのもあるかと思います。


西欧の鎧


さて、他方西欧の鎧。
レザーアーマー、革の鎧、など呼ばれるものですが、毛皮でも防御的な意味合いはありました。

氷河から見つかった5000年前の男アイスマンは毛皮で作った靴とフードをまとっていました

アイスマン - Wikipedia

靴は靴底が丈夫な熊の毛皮で作られ、中には防寒の為か藁を詰めてあった。革のゲートルを着用していた。草を編んで作った服の上に外套を纏っており、外套は色違いの革を縦縞模様に継ぎ接いで作られており、ベルトにはフリントやスクレイパー、乾燥したキノコなどが入った小さい袋がついていた。頭には熊の毛皮で作られた顎紐付きのフードを被っていた。

さらに古代からの鞣しはタンニン鞣しが主であり、可塑性が革に添加されました。

日本皮革技術協会 皮革の知識 皮のなめし
植物タンニンなめしの概要
 植物タンニン鞣しは古来より行なわれており、クロム鞣しが全盛を誇る以前はタンニン鞣しが主流であった。主に靴底革、中敷き革、ベルト用革、工芸用革などの製造に用いられる方法である。ピックル工程までは同じであるが、鞣しの段階で植物タンニン剤を使用する。



革ってなに?|〜革を学ぼう!革で遊ぼう!〜 kids' leather programs

可塑性 革は、ガラスやゴムとちがい、水でぬらしておくと、その形のままかたまります。このように、力をくわえて形をかえたあとに、力を取りさってもそのままの形でいることを可塑性といいます。革でものを作るときにべんりなとくちょうです。


 この性質を用い革を湯がいて硬くする方法もあり、そこからハードレザーアーマも作られました

レザーアーマーとは - 西洋ファンタジー用語ナナメ読み辞典「Tiny Tales」

 ハードレザーアーマーは、茹でて硬化させた革(キュイルボイル:Cuir Bouilli(仏))を使用した鎧です。

で、それがどれくらい強いかというと、、、



 まぁ、硬さでは一点突破の弓にはかなわないでしょうな(。-ω-)

 ロウを中に溶かし入れることで強度を高めることもあったとか。




刃物に対してはある程度強度があります。
下記動画では刃物に対するレザーアーマーの強度がどれほどあるか、という一つの目安が読み取れます。



さらには表面に鋲・スタッズを打つことで防御力を高めたスタテッドレザーもつくられました。
スタッズを打つことで鎧の表面を刃物が滑り隙間に刃物が侵入させない「滑り防止」の意味合いもありました

鋲付き革鎧やスタデッドレザーアーマーと呼ばれる類の防具について質問です。 - Yahoo!知恵袋

dktassetth[1].jpg
Leather armor full suits and custom design at ELAD'S leather.



革の鎧は製鉄技術の発展による金属鎧の台頭、飛び道具(弓矢、クロスボウ、鉄砲)の発展により表舞台からは消えていきます。
が、板金鎧を着る際に下に着用していました。

板金鎧の歴史とは - 西洋ファンタジー用語ナナメ読み辞典「Tiny Tales」


じゃぁ、鎧って作れるの?

日本の鎧を作りたい!という層は多くネット上でもよく見かけます。

今の時代に革で日本の鎧を作る人はほとんどいなく、ダンボール・ライオンボード・ボンテックス、木材などが使われるケースが多いですね。

革を使うよりも上記素材のほうが格段に軽く作ることが可能です。

参考サイト
手作り甲冑奮闘記【大鎧編・その1】
ほんまさんの手づくり甲冑
館山銀座甲冑隊日記 活動日記〜鎧作り編〜



西洋の鎧づくりの方々も負けていません。
向こうのマニアな方々の中には「実際の鎧を来てチャンバラをする」という本気の方々もいます。

甲冑を着た“中世バトル”がスポーツの枠を越えてた - NAVER まとめ

ちなみに日本でもあります。
キャッスル・ティンタジェル


そのため鉄の鎧はもちろん、革の鎧を自作しよう、という方もちらほらと見かけます。

Cariadoc's Miscellany: The Perfect Armor

THE Official "QUEST" Armory Page, Live action Roleplaying and Combat

Armour Archive Pattern Index

「leather armour patterns」あたりでgoogleさん頼みすれば見つかるかと。

下記は革の鎧、というよりも革の胸甲の作り方ですが、革の可塑性がよく分かる動画ですね。
こういう曲面に合わせることが出来るのが革のいいところです。




鎧は面白いモチーフです。
ここから鞄やアクセサリーを作る方もおられますね。


さぁ、宣伝だ

西欧の革の鎧を作るのならばタンニン革であることは必須であり、可塑性が求められる以上オイルやワックス、色が入っていないヌメ革が最適です。


可塑性を求めるならば下記のニッピヌメ革はオススメです。
厚みも4mm程度はありますし、上記にあげたロウを中に入れる技法などにも最適です。
ご自身でカービングなど入れる際にも適していますよ( ´∀`)bグッ!

ニッピ ヌメ 特厚(栃木レザー製) - レザークラフトフェニックス ONLINE SHOP





メキシコのソフトベンズも手頃な軟からさで加工しやすいです。
コシの強さは上記の方が上ですが、後で煮込むなりロウを入れるなら下記でも十分かと。

ソフトベンズ (WYNY社) - レザークラフトフェニックス ONLINE SHOP





硬さだけを求める!というのならば底ベンズ。
靴底に使われるだけあって硬さは抜群!
その分加工は一苦労です

国産底ベンズ A級 (昭南皮革製) - レザークラフトフェニックス ONLINE SHOP

エルパソ底ベンズ (WYNY社) - レザークラフトフェニックス ONLINE SHOP


もし鎧を作った際は是非ご一報くださいね☆


ps

ちなみにドラゴンクエストでは未だに「皮のよろい」「皮のくつ」という言葉が使われています。
見るたびに(。-ω-)な気分になりますわ。

雑誌や漫画でもたまに「皮」「革」の使い分け間違っている例が見受けられますな。

革ってなに?|〜革を学ぼう!革で遊ぼう!〜 kids' leather programs


文責:ムラキ
タグ:革の話をしてみよう
posted by フェニックス at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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