・革1枚全部を薄くする=割り漉き(関西では漉き割り、関東では割り漉き、と言います)
・革の端っこだけ薄くする=漉き加工
割り漉き、という世界はあまり表に出てこない仕事ですが革業界的には必須の仕事です。
人生が108回あるなら2回くらいやってみたいな、と個人的に思っている仕事です。
今回は動画で解説しつつ補足をblogで行いましょう


割り漉きの機械は横幅2,5mほど、縦幅1mちょいあります。
この機械さんはおいくつくらいなの?
漉き割り屋さん「25年か30年くらいかな?
当時で1300万」
その年代で1300万ってのはすごいな。
「今も同じくらいで厚み調整をコンピューターで自動で出来るやろうなぁ」
ほへ〜
常時研ぎながら使っている、ってことだけどどれくらいの頻度で交換しはるん?
「10〜13日に一度くらいやな。
最初は85mmある刃物が35mmまで減るで」
35mmが〜

85mmに〜

触ってもいいん?
「絶対あかん!指とぶぞ!
交換する時とかは刃先を潰したりするし、新品の刃物は刃先がついていないから触っても大丈夫や」
以前ホッチキスやクリップが入っていて怒られましたが、あれは刃先が削れるから?
「せやで!
ホッチキスクリップが入っていると刃先が欠けるからな。
そうなるとしばらく仕事中断して研がなきゃいけない。
研ぎが悪いといい仕事は出来ないし、思った通りの厚みが出ないから絶対あかんのや」
今やっている仕事はなに?
「今はタンナーから送られてきた革を漉いているんや。」

どういうこと?
「タンナーでドラムで染めるやろ?
その時に全体の厚みを均一にしておいたほうがきれいに染まる。
その下処理として1.6mmに漉いているんや。
鹿革で端っこ部分が厚みがバラバラやからとりあえず2mmに漉く。
で、その後1.6mmで均一に出す。
最初から1.6mmを狙うときれいに厚みがでないんや」
へ〜この仕事がどれくらいの枚数?
「今回は60枚ほどかな。
漉き割りの仕事はこういうタンナーさんからの依頼があるから食っていけるねん」
タンナーのある場所に漉き割り屋さんはないの?
「あるけどな。
タンナー自身が持っていたりするけど、その場合はシェービングで使われているからこういう下処理済みの革を漉いたりはしない。
うちは姫路や龍野、奈良からのタンナーから漉き割りの仕事が来ているおかげで食っていけるんや」
ってぇことはうちがお願いする1枚1枚厚みが異なる仕事ってのは漉き割り屋さんとしてはとてもとてもめんどくてお金にならないってことやね(-_-;)
「ははっははは、、、」
すいませんすいません、いつもご迷惑をおかけします m(__)m
1時間にどれくらい漉けるの?
「だいたい60枚やな。
全部同じ厚み、同じ革の場合でな。漉いて裏面にDS数を書いたりするから60枚だが
そんなことしなくていい!ってことなら80枚は漉けるで」
へ〜。

漉くときに革を入れるのに2人、革を受け取るのに1人、ってぇのは入れる際にシワが出ないようにするため?
「そうや。
シワのまま中に入るとごそっと削れてしまうからな。
ここで寸前までシワがよらないように機械に入れる」
動画見る度に冷や汗が出るよ、こちらは。
割り漉き屋さんってのは表に出てこない職種です。
ですが革業界になくてはならない仕事であり、彼らの技も職人技です。
当店では当店購入革は1枚300円、他社様の革でも500円で漉きますのでまたご依頼くださいな。
その際には絶対に!ホッチキスやクリップはつけないでください!
・全面漉き(割り)加工 - レザークラフトフェニックス
文責:ムラキ